高校時代からの親友の家に行ってきた。
大阪に住むM。
大学を出てから東京に移り、もう結婚もしているS。
そして私。
趣味、嗜好の全く違う3人ではあるが、何故かずっと一緒にいるのだ。
いつも集まるのはSのお家。
ここ10年以上、お盆と大晦日は、必ずこのお家で過ごす。
お世話になりっぱなしの、第二の実家である。
「ピース」は、このお家の子である。
みんなからは、「ピーさん」と呼ばれている。
年に数回しか会わない私たちのことを良く憶えてくれていて、
いつも甘えてくれる。
ウサギ耳。
こんなことをしても、全然怒らない。
可愛くて仕方ない。
そんなピーさんであるが、食い意地には目を見張るものがあるようだ。
一瞬で理性が吹き飛ぶ。
今日、はじめて手を噛まれたんである。
血が滴るほど。
誰かが食べたチーズの包み紙(アルミ)が、何かの拍子に床に落ちた。
それを素早く嗅ぎ付け、くわえたピーさんを叱り、
口の中からアルミを出そうと、手を伸ばした瞬間であった。
手に鈍い痛みが走った。
噛んだ後も、威嚇し続けていたが、
次の瞬間、
その場に居た全員から激しく叱咤されたピーさんは、
本当に申し訳なさそうな、困った顔をして部屋の隅にうずくまった。
不安げにキョロキョロしている。
その後、私が帰るまでずっと落ち込んでいたピーさんであったが、
私が帰り支度を始めると、走って玄関まで行った。
そして、「ごめんなさい」と言いたげに、玄関先で伏せの状態で「とおせんぼ」をした。
上目遣いに私の機嫌を伺っている。
私も、手を噛まれたことでかなり動揺していたが、
落ち込んでいるピーさんを見て申し訳なさが溢れてきた。
もっと、他の叱り方があったかもしれない。
ゴミの処理をきちんとしていれば、起こらなかった事故である。
私も、徒らにびっくりさせてしまったことを謝って、みんなの前で仲直り。
びっくりさせてごめんね、ピーさん。