先日、はじめて携帯電話を買ってから、
14年間ずっと一緒だったストラップの紐が切れた。
驚くほど丈夫で、引っ張っても振り回しても壊れることはなかったのに。
壊れる時は本当にあっけなく、
何の前触れもなくプツンときれいに切れたのだ。
それと時を同じくして、ちょうどそのストラップを買ったころに出会った、大学時代の恩師の訃報を聞いた。学部も違えば専攻も全く違うその先生のゼミに、当時何も知らない大学1年生だった私は、無理を言って参加させてもらっていたのだ。ゼミ、というものを理解していなかった私は、きっと失礼なこともたくさんあっただろうと思う。それでも、嫌な顔もせず長い時間をかけて面倒を見ていただき、本当にいろんな経験をさせていただいた。
それまで半径50cm程度のごくごく狭い世界で生きてきた私にとって、先生のお話はとても興味深いものだった。先生の考え方を聞くたびに目から鱗がぼろぼろとこぼれ落ち、文字通り世界が広がったのだ。
何よりも自由を愛する人だった。「弱い立場」と言われる人の声の中にこそ強さが、祈りがあると。
先生の教えは、今も私の中で生きている。
20歳の時に言われた、あの言葉。
先生はきっと何気なく言ったのだと思うけれど、
私は涙が出るほど嬉しかった。
あれは、私の人生観を変えた一言なんですよ、先生。
「考えることを止めないで。あなたは僕と同じ匂いがする。
思うように旅を続ければ良い。
磨き続ければもっと面白い人生が待っているよ。」
本当にありがとうございました。
先生に出会えたことは、私にとってこの上ない仕合わせです。
一昨日、先生のお顔を拝見したとき、
つぎの命へと羽ばたく先生を感じることが出来ました。
だから、きっとまた会えると信じています。
その日まで、ずっとずっと旅を続けます。
どうか見ていて下さいね。
.