随分間が空いてしまいましたが、気を取り直して。
天井の破壊、2日目。この日は一人で作業していたため、写真がない。
1日目は、下地を石膏ボードを全て剥がし、梁からぶら下がる下地を半分ほど鋸で落とした。今日は、残りの下地を全て落とし、手が届く範囲で梁を雑巾で拭く、というという工程である。
ところで、この家は平屋なのだが、とにかく天井が高い。
きっちり計ってないけれど、おそらく一番上まで5m以上ある。
2m弱の脚立を使っても、きっちり拭けるのは梁の下半分までなのだ。
あと、点検口から覗いた時にも気づいていたけれど、天井を剥がしてはっきりしたことが一つ。
どうやら何十年か前に屋根を全て補修しており、その際に野地板を交換した部分と、昔のものをそのまま使っている部分があるらしい。
昔からの野地板は、梁や柱同様、煤で真っ黒になっているのだが、新しく交換した部分は杉の荒材そのままの色なんである。
つまり、天井が綺麗にツートーン。
作業前は、後で黒に塗ればいいや、と軽く考えていただけれど、何せ一番高いところは5mを越している。
室内に足場でも組まない限りは届かない。
さて、どうするか。この問題はまだ解決していない。
閑話休題。
昨日の作業で肩、首回りがガチガチではあるが、今日もずっと上を向いての作業である。
しかも間に合わせの安物だからか、鋸が切れない。そんな状態で、高さ2m強の脚立に上り、高さ4m程度の梁から吊るされている角材を切る。切れた瞬間 角材が自分に向かって落ちて来るんである。それを受け止めつつの作業なのだ。
わかっていても、これは怖い。そんで重い。
鋸を持って脚立に登っているので、一歩間違えば大怪我。常に緊張状態。
脚立怖い。
昨日のサウナ地獄の方が楽やったやん。
何回か、もうやめたい、、、と思いながらも、何とか午前中で角材を全て撤去。
出来た。何とかなった。あとは掃除。
午後からは、ひたすら掃除である。
掃除の基本は上から、ということで、箒で梁に積もった積年の埃を落とし、可能な限り雑巾で拭いていく。
壁は、土壁と漆喰の部分が共存していて、昔から何も手が入っていないであろう土壁は、煤で真っ黒である。
艶消しの吸い込まれるような黒で、木部とはまた違ったテクスチャでいくらでも眺めていられる。
この黒い土壁は、この家でお気に入りの場所の一つになった。
土間は、食堂の入り口部分になる予定なので特に念入りに掃除する。
お店が暇な時は、ぼーっと煤けた土壁と梁を眺めて過ごせるようにしよう。
まだまだ遠い道のりだけれど、想像するだけで嬉しいし楽しい。
そんなわけで、何とか昭和の石膏ボードは撤去され、何とも立派な構造が姿を現したんである。
本当に、やってよかった。
脚立作業は怖かったけど、1日目よりは格段に楽に作業を終えることが出来た。
梁が見えた!
しかし、まだ終わりではない。
ズタ袋に入った石膏ボードを処分する、という重要な工程が待っている。
木は、長さを切りそろえて薪にするので問題ない。余談だが、この家のお風呂は薪で追い炊きができる。
石膏ボードは市の不燃物処理場に持ち込みたいが、可能なのか。
なんとかお金をかけずに自分で処分したい。業者さんに来てもらうと、結構かかる気がする。
ということで、まず、市の担当課に電話してみた。
私 「あのう、市の不燃物処理場に自宅の改装で出た石膏ボードを持ち込みたいのですが、可能でしょうか?」
担当者さん「えーっと、石膏ボードですね、はい、大丈夫ですよー。営業時間内でしたらいつでもお持ちください!」
想像以上に軽い。そしてなかなか良い感触だ。
私 「えっと、そこそこの量がありまして(ズタ袋×15)、、、」
担当者さん「はいはい、大丈夫ですよー。個人さんですよね?」
私 「はい、自宅をDIYで改装してまして(DIY強調)、、、」
担当者さん 「ええ、でしたら問題ありませんので、営業時間内にお待ちしてますー。」
ということで、担当者さんを信じ、軽バンにズタ袋をパンパンに詰め込み、出発。
念のため、処理場の窓口で市の担当課に電話した旨と担当者さんの名前も伝えて、中へ。
建物の中に入ってバックで車を止め、4、5人いたお兄さんたちに
「これお願いしまーす!」と言いつつ、私も一緒に張り切ってズタ袋を降ろし始める。
みんなが、袋に手をかけようとしたその時。
その場にいた最年長っぽいおじさまが、私の顔を見て訝しそうに尋ねる。。
おじさま 「これ中身は?」
私 「石膏ボードですー。」
おじさま 「え?これ全部!? おい、お前ら待て、降ろすな。これ、事業者ゴミでしょう?」
一瞬、現場にピリッとした空気が流れる。
いやいやいや、こっちはその可能性を考慮して、わざわざ市の担当部署に電話して言質をとって、受付で担当者さんの名前まで出しているのですよ。確かに現在の私の格好は上下濃紺の作業着(ドロドロ)に赤のニット帽でマスクに作業靴。
事業者に見えなくはないかもしれない。
でも、間違いなく「個人」です。
ここであらぬ疑いをかけられては、と思った私は、先手必勝、精一杯の笑顔で明るく、
「最近 古民家に引越したばっかりで、いまずっと家の片付けしてるんですよー!それで、自分たちでいろいろ改装とかしてて、天井も抜いたんです!さっき受付でも大丈夫って言われて、市の担当者さんにも話は通してるんですー。じゃあ、降ろしますねー!ありがとうございまーす!!」
とニコニコしながらまくし立てて、ズタ袋を降ろしはじめた。
すると、皆さん「あ、ああ。」」とか言いながら、勢いにつられて一緒にズタ袋を運んでくれた。
よかった。助かった。
一ミリも悪いことしてないのに焦った。
基本的に人見知りで根暗な私だが、ここぞという時には学生時代に部活で培った「明るい私」を演じられるんである。
一緒に荷物を運びながら、おじさま達に天井を抜いたときの大変さを語り、全ての荷を下ろした後、ダメ押しに iPad にあった写真を見せ、納得してもらった。
最終的には、「これ全部自分らででやったんか!大変やな。改装頑張れよー!」とまで言ってもらったんである。
帰り際、「ありがとうございます!また、色々持ってくると思うんでその時はお世話になりまーす!!」 と快活に別れの挨拶をして、石膏ボードの処理については一件落着。
最近は、土間の天井を見上げてはニヤニヤしている。
そういえば、写真がないけれど、先日、グラインダでコンクリも削った。
ここは「削った」ではなく是非とも「はつった」と読んでいただきたい。
雨水の排水がうまくいかない部分があったので、水が流れるようにコンクリにちょっと溝をつけたんである。
内装はある程度やってきたけれど、まさか、コンクリを削る日が来るとは思わなんだ。でも、どんなこともやってみれば意外と何とかなるもんである。
雨水といえば、雨樋も何箇所か補修しなければ。
やることがたくさん。
そして、またひとつ、経験値が上がったような気がする今日この頃。