天然のすっぽんを食べた。
お約束の 生き血割り も飲んだ。
すっぽんを食べたのは、これで2回目。
前回食べたのは、大学生の時である。
懇意にさせていただいている教授のお宅で、みんなで捌き、鍋にしたのだ。
あの時の雑炊の味は忘れられない。
そして、再びすっぽんを食べるチャンスが巡ってきた。
前回と違うのは、ただひとつ。
スッポンを捌くことが出来る人間が、1人しかいない、ということ。
つまり、私である。
このくらい前置きをすればもう大丈夫だろう。
「解体」という言葉に嫌悪感を感じる方は、これ以上読まない方がよろいしいかと。
先週、金曜日の夜。
20時の汽車で実家に帰らなければならない、というハードスケジュールの中、
スッポンの解体、鍋作りの依頼を受ける。
終業後、17時半より解体開始。
しかし、こちらの焦りを感じ取ったのか、
ヤツもなかなか首を出さない。
ひっくり返し、木端を咬ませ、何とか首を引きずり出して、
とん。
すかさず、焼酎の入ったグラスに、ぽたぽた。
芋焼酎 千亀女。 スッポンだけに。
甲羅、外します。
ぱか。
膀胱、胆囊 を破らないように細心の注意を払って、内臓を取り出す。
残念ながら卵は無い。
3,40分程度で解体終了。
あとは、骨を傷つけないように解体し、鍋でぐつぐつ。
信じられないくらい大量のアクを、根気強く取りつつ煮込む。
煮込めば煮込むほど美味しくなるらしい。
塩、酒、醤油等で味を調えて完成。
この時点で、汽車の時間が来た。
悔しいが、一番美味しいところは食べられない。
せめてもの報いに、と、頭骨と甲羅を手に入れた。
頭骨は、鍋を食べに来ていた小学校1年生の男の子にプレゼント。
予想以上に喜んでくれて、驚いた。
傷つけないように解体した甲斐があったというものだ。
甲羅は、現在 肉取り中。
頭骨はプレゼントしたけれど甲羅は欲しい、と思っていたのだが思い直した。
完成したら、あの少年にプレゼントしよう。
頭骨も甲羅も、私は、もう持っている。